働く女性の産婦人科の選び方【1】

助産院や総合病院など各医療施設の特徴を比較

高齢出産の女性に適した産婦人科の選び方

女性の社会進出が急速に進んできたことから、結婚や出産に対しての価値観が大きく変化してきました。

その結果、女性の初婚年齢や初産年齢が上昇する傾向にあります。1995年における女性の初婚年齢の平均は26.3歳でしたが、2020年には29.4歳になり、約3歳の上昇となりました。第一子を出産する年齢 (初産年齢) は1995年には27.7歳、その後緩やかに上昇傾向にあり、2015年以降はほぼ横ばい状態でしたが、2021年には30.9歳になりました。

従来は初産年齢が35歳の場合は高齢出産というイメージが定着していましたが、仕事に生きがいを持ち、結婚しても仕事を続ける女性も多く、40歳以上の年齢で初産を軽減するケースも珍しくありません。初産年齢が高齢になると、母体への体力的な負担も重くなるため、どの産婦人科で診てもらうか、慎重に決めなくてはなりません。

そこで、高齢出産の女性に適した産婦人科の選び方について、詳しく解説します。

産婦人科の場所の選び方

女性が出産をする場所は、最寄りの産婦人科クリニック・個人産院・診療所・助産院、大規模な医療施設では大学病院や総合病院などがあります。

そこで、産婦人科の場所の選び方や、それぞれの医療機関の特徴の違い・メリット・注意点について見ていきます。個人産院や診療所などの小規模な医療機関では、妊娠中の診察や検診から分娩・出産後の検診や経過観察に至るまで、すべてひとりの専門医が担当するのが一般的です。

そのため、専門医や看護師とのコミュケーションが成立して、より良い信頼関係を構築することができます。

一方、総合病院や大学病院では複数の専門医が在籍しているため、初診・分娩・産後の対応について担当医が変わるケースもよくあります。大規模な病院であるため、最新の医療設備が導入されており、持病がある場合でも他の診療科目の専門医との連携により対応がスムーズです。助産院では分娩から産後まで、親身になってサポートしてもらえます。

ただし、助産師は医師ではないので医療行為は禁止で、合併症など深刻な状態を未然に防ぐための対策や医療設備が不十分であるため、高齢女性の出産には適していません。

産婦人科の選び方【2】無痛分娩(和通分娩)の対応

無痛分娩(和通分娩)とは

結婚して温かい家庭を築いて、子どもが生まれることにうれしさを感じる一方で、出産に対しての不安な気持ちもつきまとうものです。とくに初めて出産を経験する女性にとっては、陣痛がどの程度続くのか、出産時の激しい痛みに耐えられるかどうか、気になる方も多いでしょう。

そのような不安を緩和する方法のひとつとして、無痛分娩による出産を選択するケースも増えています。一般的に無痛分娩(和通分娩)とは、出産する前に医療用の麻酔を処方することによって、分娩にともなう痛みを軽減することを目的とする出産方法です。

無痛分娩というネーミングから「出産する時に痛みが感じられない」というイメージですが、まったく痛みを感じないというわけではありません。陣痛は赤ちゃんを生むために大切な準備であり、陣痛が来た時にお腹が張って胎児が移動する感覚を掴み、いきむ時の感覚を体で覚えることが極めて重要となります。

無痛分娩はあくまでも出産時の痛みによる精神的な負担を抑えるためのものなので、全身麻酔をかける必要はありません。部分的な麻酔により、いきむタイミングや感覚を逃すことなく、精神的に落ち着いた状況の中で、出産に臨むことができます。

無痛分娩を受けるには

それでは、無痛分娩による出産方法を選択する場合、産婦人科選びはどのように対応すれば良いのでしょうか。全国各地に産婦人科クリニックや大学病院、助産院などさまざまな医療機関がありますが、どの医療機関でも無痛分娩に対応できるというわけではありません。

妊娠してから産婦人科で定期的に診察してもらう時に、できるだけ早い時期に無痛分娩による出産に対応できるかどうか、まずは主治医に1度尋ねておくと良いでしょう。無痛分娩による出産方法を希望することを主治医に伝えてみて、かかりつけの産婦人科にて対応が可能であれば、依頼すると良いです。

かかりつけの産婦人科では対応できない場合は、別のクリニックや病院を紹介してもらえる可能性もあります。紹介してもらえない場合は、無痛分娩の経験が豊富な病院や評判の良いクリニックを探してみると良いでしょう。

無痛分娩を受けるために母体の体調管理も重要であるため、妊娠32週 (約9ヶ月) よりも前の時期に相談して、受け入れ先の医療機関を決めるのが最善策です。

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産婦人科の選び方【3】里帰り出産の有無

里帰り出産の流れ

「今住んでいる場所で不安を抱えたままの状態で出産するよりも、産前産後の時期は実家に帰って、家族と一緒に生活して里帰り出産したい」と希望する女性が増えています。

里帰り出産のメリットを挙げると、実家に帰って家族と一緒に生活するので、出産に対しての不安を和らげ、家族のサポートを受けることができます。里帰り出産に最適な産婦人科の選び方についてはまた後ほどお伝えしますが、それより先に里帰り出産のおおまかな流れ・手順についてご説明しましょう。

まずは実家から近い産婦人科や病院に関する情報を調べて、専門医の経歴や経験、どのような医療設備が導入されているのか、リサーチしてみましょう。実家に帰省する前に家族に連絡して日程を決めます。

帰省先の産婦人科や産院で診察や分娩の予約を入れて受診します。出と産の時期が近づくとお腹が大きくなり、実家への帰省が大変になりますので、なるべく早い時期に帰省して受け入れ先の産婦人科を受診しておくことをおすすめします。

出産後は1週間程度の入院期間を経て、しばらくは実家でゆったりとした時間を過ごし、育児に専念します。

里帰り出産に適した産婦人科の選び方

それでは里帰り出産を希望する妊婦の方に向けて、最適な産婦人科の選び方について詳しく解説します。

産婦人科のある医療施設では、地域密着型のアットホームな街の助産院や、高齢出産や持病やリスクを抱えている方に適した大規模な病院など、多彩なタイプがあります。里帰り出産でもっとも大切なことは、リラックスした気分で安心して出産に臨むことです。ご自身の健康状態について十分に把握した上で、ニーズに見合う産婦人科を選びましょう。

産婦人科の選び方では距離感も重視すべきです。出産予定日よりも数日前に突然陣痛が起こり、緊急の対応が必要となるケースもありますので、実家から近い場所の産婦人科を選んでおくと、速やかに対応してもらえるので安心です。

産婦人科のある病院の選び方で、里帰り出産で母体と胎児へのリスク管理や医療設備を重視する場合は、リスクの高い妊娠に対しての医療経験が豊富な病院や、新生児医療で定評のある病院を選ぶと良いでしょう。

産婦人科の選び方【4】女医の在院

女医が在籍する産婦人科の特徴を知っておこう

産婦人科は読んで字の如く婦人科と産科の両方に対応している医療機関です。産科の治療では妊娠の有無に関する検査や、妊娠してから出産後までの健診、分娩に関するサポートなどが行われます。

一方、婦人科では生理不順・卵巣・子宮・更年期にともなう不快な症状などの症状や病気に関する診察や治療が行われます。「出産を希望しているのに妊娠の兆候が見られない」「生理痛や生理不順が続いて深刻な病気にかかっているのでは」と思い悩む女性も多く、男性の産婦人科医には相談しにくいこともあるでしょう。

そのような時に女性の医師によるカウンセリングを受けることができれば、相談しやすくて不安な気持ちが解消されるケースもよくあります。妊娠・出産や婦人科系の病気は、女性にとってとてもデリケートな問題ですから、男性の産婦人科医よりも女医の方が同じ女性として共感し合い、お互いに理解し合うことができるので、安心感が得られるでしょう。

産婦人科では内診を受けることもありますので、男性よりも女医の方が抵抗を感じることもなく、リラックスして診療を受けることができます。

女医が在籍する産婦人科の選び方で重要なポイント

次に、女医が在籍する産婦人科の選び方について、重要なポイントをいくつかお伝えします。

女医のいる産婦人科の医療機関にも多彩なタイプがあり、専門分野や治療経験にもそれぞれ違いがあります。産婦人科の専門領域は妊娠・出産・婦人科系の病気の治療・不妊治療など多岐に渡り、その中でどの分に精通しているのか、どの程度の経験があるのか、クリニックや病院の公式サイトを閲覧して、情報収集しておくと良いでしょう。

その中で気になる医療機関が見つかったら、1度カウンセリングを受けておくと良いでしょう。気になる症状や悩みについて患者の立場に寄り添い、丁寧に話を聞いてくれる女性だと安心です。

大規模な医療期間だと複数名の産婦人科医が在籍していて、その中には男性の医師が含まれる場合もあります。

女医による診察や治療を希望していても、通院する際のタイミングが合わずに男性の産婦人科医が担当する可能性もありますのでご注意下さい。